日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-47
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子どもの手指の発達が箸の使い方に及ぼす影響
中野 ひとみ*鈴木 啓子
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キーワード: 子ども, , 発達
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抄録

【目的】手指の発達は細やかな指先の動作を可能にする。特に5歳頃になると骨格を連結する筋肉が発達し筋力も増しかなり複雑な動きができるようになるといわれている。この時期に箸の持ち方を習得することは必要であり、発達段階に応じた適切な指導方法が重要である。そこで本研究では、幼稚園児と小学1年生を対象に手指の発達と箸の持ち方、適切な指導が及ぼす効果を検討することを目的とし調査を行った。
【方法】調査は、2016年春(4、5月)、秋(9、10月)に実施した。本学で行っているキッズクッキング(通年4回)に参加している幼稚園生(年中41名、年長39名)、小学1年生(11名)を対象に手指の発達調査、箸の持ち方の観察調査を行った。手指の発達段階は、利き手の薬指・小指を曲げ、親指・人差し指・中指を開閉する動作を行わせ評価した。また、保護者を対象に自己記入式アンケート(回収率84%)を行った。内容は家庭での箸の持ち方を指導の有無、兄弟姉妹の有無、キッズクッキングでの指導の効果などである。
【結果】指の開閉動作ができる子は年齢とともに増加傾向があり正しい箸の持ち方との相関がみられた。開閉動作ができる子は年中48%、年長94%、小1年100%であり、年中は指の発達が未熟であった。手指は年中から年長の間で急激に発達することがわかった。春の調査で箸を正しく持てる子は年中16%、年長64%、小1年64%。秋では、年中14%、年長80%、小1年64%であった。キッズクッキングにおいて小豆や小さなスポンジを箸で皿に移す「お箸ゲーム」を行い、正しい箸の持ち方を習得できるよう指導した結果、友達と競争したり、家庭で練習する子もあったことが調査により明らかになった。これらのことから、手指の発達段階に合わせて指導を繰り返し行い、子どものやる気を刺激することの有効性が示唆された。

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