日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-60
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ポスター発表
べにふうき緑茶および生姜を用いた脂肪蓄積抑制効果の組み合わせ量の検討
竹下 温子
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キーワード: 緑茶, 生姜, 脂肪蓄積
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抄録

【目的】我々は普段の食生活の中で、様々な食品成分を複合的に摂取しているが、機能性についての報告は、単独の食品が多く、由来の異なる食品成分を組み合わせた生理学的機能性に関する検討は少ない。本研究は、多くの機能性を有している緑茶と同様に抗肥満作用を持ち、古くから生薬としても利用されてきた生姜に着目し、脂肪蓄積抑制の相乗効果について報告してきた。本年は毒性がなく最も効果のある組み合わせ量を検討することを目的とした。
【方法】C57BL/6J系の雌マウス5週齢を72匹購入し、一週間の順化後、高脂肪食(n=18)、複合投与群(茶+生姜)の生姜量を6つのⅠ~Ⅵ群(各n=9;生姜添加量Ⅰ0.5%,Ⅱ0.75%,Ⅲ1.0%, Ⅳ1.25%,Ⅴ1.5%, Ⅵ2.0%)に分け、自由摂食・摂水とし9週間の飼育を行った。3日ごとに摂食量、一週間ごとに体重を測定した。6時間絶食後、麻酔を腹腔投与し、心臓から採血した。頸椎脱臼後、各臓器重量を測定し、-80℃で保存した。脂肪の合成や代謝に関わる遺伝子発現についてはRT-PCRを用い、血中・肝臓中の脂質は和光純薬製のキットを用いた。
【結果】摂食量に有意な差は見られず、体重量は生姜量が最も少ないⅠ群(0.5%)以外のすべての群で高脂肪食群と比較し有意に低値を示した。また内臓脂肪量は複合投与群が6群全てにおいて有意に低値を示し、肝重量は複合投与Ⅲ群(1.0%)、Ⅴ群(1.5%)で有意に低値を、肝臓中脂質量も低値を示した。しかしながら、Ⅴ群の1.5%では、栄養不良による皮膚障害や、腎臓の肥大を確認したため、より健康的に脂肪蓄積抑制効果があった群はⅢ群の茶2%+生姜1.0%の組合せであることが示めされた。現在、産学官でこれらの商品化を目指しているが、再検討する中で興味深い結果を得、更なる課題が見えてきたので合わせて報告する。

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