抄録
【目的】青森県に伝承されている家庭料理の中で、おやつとして食べられている料理の種類や特徴について明らかにすることを目的とした。
【方法】聞き書き調査は平成25年12月から27年12月にかけ、調査研究員7名にて津軽地域(中南、西北、東青)、南部地域(上北・三八)、下北地域から25地区を選び、調査対象者41名(平均年齢73.4歳)に対して行った。
【結果】おやつは34品あげられ、各地域の特徴が見られた。青森県全域では、よもぎ餅、彼岸団子が共通料理としてあげられ、津軽地域は豊かな米作地帯が広がり、米やもち米を使った「しとぎもち」「がっぱらもち(のりかすもち)」「笹もち」「干しもち」「豆こごり(こごり豆)」が作られていた。下北地域は気象条件が厳しいため、畑作が主で特にじゃがいもが多く作られていた。そのため、じゃがいもを用いたおやつの「いももち」があげられ、また貴重な米粉を用いた「べごもち」も行事食として作り伝えられていた。南部地域はヤマセによる冷害凶作が多い土地柄だったため、稲作は非常に厳しく畑作中心であった。おやつには小麦を用いた「酒まんじゅう」「かますもち(ばおりもち、きんかもち)」「むぎもち」「てんぽ」、そばを用いた「そば串もち」、豆を用いた「豆しとぎ」、じゃがいもを用いた「いもはっと」「なべっこだんご(へっちょこだんご)」など、特に南部地域は様々な食材を用いたおやつの種類が多かった。現在も各地域で収穫された農作物を利用して、特徴あるおやつ作りが伝えられていた。