抄録
【目的】高温加熱した食品に広く検出されるアクリルアミド(AA)は、主に還元糖とアスパラギンを120℃以上で加熱することで生じ、長期摂取による発がん性のリスクが懸念されている1)。我々は前報にて、糖化最終生成物(advanced glycation endproducts:AGEs)の一種であるNε-(carboxymethyl)lysine(CML)について、だし添加により調理中の生成が抑制されることを報告しており2)、同じく糖化反応により生じるAAに対しても生成抑制効果が期待された。本研究では、鰹節だしが調理中のAA生成に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】鰹荒節を熱水抽出したものを鰹節だしとして試験サンプルに用いた。高温調理を模したモデルとして、グルコース、アスパラギンおよび鰹節だしを含む反応溶液をガラス繊維濾紙に塗布し、180℃で5分間オーブン加熱した試料を調製し、 AAを定量した。鰹節だしの代わりに水を用いたコントロール試料のAA生成量と比較し、鰹節だし添加時のAA生成抑制率を求めた。また、調理試験として、AAを高濃度に含む食品として知られるポテトスナックおよびビスケットの生地に鰹節だしを添加して焼成した試料を調製し、試料中のAAを定量した。AAの定量にはLC-MSおよびGC-MSを用いた。
【結果】ガラス繊維濾紙モデルにおいて、鰹節だしを添加することによりAA生成が抑制された。また、調理試験においても、ポテトスナック、ビスケットともに鰹節だしの添加によりAA生成が抑制された。
1)農林水産省 食品中のアクリルアミドを低減するための指針 第1版
2)日本調理科学会平成26年度大会研究発表要旨集 p.42