抄録
【目的】大量調理施設では、食中毒事故防止のため「大量調理施設衛生管理マニュアル」が施工され、調理後直ちに提供されない卵調理加工食品では65℃以上に保管することによって緑変による品質低下が問題になっている。本研究では、卵調理加工品の緑変防止法として還元糖と有機酸の併用効果について検討した。
【方法】加水10%全卵溶液を対照とし、加水の代わりに0.2Mグルコース、0.05%クエン酸、0.1%クエン酸単独および0.2Mグルコース+0.05%クエン酸、0.2Mグルコース+0.1%クエン酸をそれぞれ混合した全卵溶液を調製した。これらを直径30mmポリ塩化ビニリデンケーシングに充填し、90℃で60分間加熱・冷却後常温に戻し、各25mm厚に切断したものを試料とした。品質評価として、色調(L値:明るさ、a値:+赤色、-緑色、b値:黄色)、硫化水素生成量、破断強度等物性測定、および官能検査を行った。
【結果】対照はa値が著しく低下し緑変するのに対し、0.2Mグルコース添加試料では硫化水素生成量は減少しa値の低下は少なく緑変はかなり抑制されるが、メイラード反応による褐変臭を伴う。0.2Mグルコースに0.05%クエン酸を添加すると、pHが低下するため、L,a,b値が増加して明るい黄色を呈し、緑変は抑制された。また、酸による風味の低下は認められず、褐変臭も抑制された。これらは、還元糖およびクエン酸による硫化水素生成抑制効果とクエン酸のpH低下による黄色化によるものと考えられ、卵調理加工品の緑変防止法としては有効であった。