日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-17
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ポスター発表
高圧力を利用したユズマーマレードに関する研究
-処理時間による比較-
近藤 寛子*高橋 知佐子*石井 香代子渕上 倫子
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キーワード: ユズ, 高圧力, マーマレード
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抄録
【目的】これまでの研究で、高圧力処理を利用してマーマレードを作製すると、加熱処理より本来の色や風味を保ったマーマレードが作製できることを明らかにした。本報告では、処理時間を変えてマーマレードを作製し、性質の差を比較した。
【方法】市販のユズの外果皮を2㎜幅に切断した。中果皮、内果皮、果肉は種を除いた後、pH 2.7のクエン酸溶液を加えて磨砕した。ユズのペーストを6等分し、その中に6等分した外果皮のスライスを入れ、混合した後に35℃で24時間静置した。グラニュー糖を添加して糖度50%として真空包装し、各々500 MPaで10分、20分、30分高圧力処理、沸騰水中で10分、20分、30分加熱処理を行った。各マーマレードについて品質比較を行った。
【結果】色差の測定では、高圧力処理のL値(明るさ)とb値(黄色度)が高値で、明るくやや緑みを帯びた黄色のユズマーマレードになった。加熱処理のa値(赤色度)は、メイラード反応による褐変が起きたため処理時間の経過に伴って高値となり、やや赤みを帯びたオレンジ色であった。レオロジー評価では、G’(貯蔵弾性率)は高圧力処理では処理時間を変えても変化しなかった。加熱処理は時間の経過にしたがってやや低下したが、処理時間による大差はなかった。破断強度解析では、高圧力処理した外果皮は生と同程度の硬さであった。加熱処理では、時間の経過とともに軟化した。
以上より、高圧力処理では処理時間による変化がほとんど見られなかったため、10分間以上の高圧力処理によってマーマレードが作製できると考えられる。ただし、食中毒菌などの細菌の不活性化には20分以上の加圧が必要であるとの報告があるため、加圧時間と細菌数の関係についても今後検討する必要がある。
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