抄録
【目的】近年、消費者の健康志向が高まり、機能性成分を多く含む野菜が注目されるようになってきた。欧米では定番野菜であるヒユ科植物のレッドビートは、ベタレインを多く含有していることが知られており、抗酸化能はアスコルビン酸よりも強力であると報告されている(前田,2009)。そこで本研究では、レッドビートの成長時期別のベタレイン含量の比較を行うとともに、抗酸化活性との関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】試料は、明治大学生田キャンパスの露地圃場で収穫されたレッドビート(デトロイト・ダークレッド)の春播き(3月下旬)の可食部である肥大根(抽根期、適期、過熟期)を使用した。ベタレイン(ベタシアニン、ベタキサンチン)含量の測定は、試料溶液を分光光度計(UVmini-1240,SHIMADZU社製)を用いて吸光度を測定し含量を算出した。抗酸化活性は、ラジカル消去能をDPPH法により測定した。またDPPHラジカル消去能はTrolox相当量として算出した。
【結果】ベタシアニンおよびベタキサンチン含量は抽根期が最も高く、次に過熟期、そして適期の順であり、過熟期と適期ではあまり差が見られなかった。DPPHラジカル消去能は抽根期が最も高く、次に適期、そして過熟期は最も低い値となった。また、両者の関係を見たところ、ベタシアニンおよびベタキサンチンの2種のベタレインとDPPHラジカル消去活性との間には高い正の相関関係が認められ、レッドビートの抗酸化活性はベタレイン由来によるものであることが示唆された。まだ日本では馴染みの少ないレッドビートではあるが、高い抗酸化活性を有している野菜であるため、今後のさらなる消費拡大に繋がればと考える。