日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-68
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ポスター発表
産地の異なる山椒(Zanthoxylum piperitum DC.)の香気成分分析と官能評価による分類
*山崎 一諒福留 奈美早川 文代永野 幸生
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キーワード: 山椒, 香気成分, 官能評価
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抄録

【目的】山椒(Zanthoxylum piperitum DC.)は日本の食文化を特徴づける香辛料である。近年、様々な系統が各地で栽培されており、朝倉山椒、ぶどう山椒、高原山椒などが代表的な系統である。これまで、山椒の香りについて、その特徴や系統間の違いが研究されてきた。しかしながら、香気成分分析による各種山椒の分類および特徴づけについて詳細は調べられていない。本研究では、香気成分分析によって山椒の香りを特徴づけることを目的に、種々の市販の粉山椒についてガスクロマトグラフィー(GC)により香気成分を分析した。さらに官能評価を実施し、香気成分分析の妥当性を検討した。
【方法】朝倉山椒、ぶどう山椒、高原山椒を主原料とする市販粉山椒8種類および一般的な市販粉山椒2種類の合計10種類を使用した。香気成分は、Monolithic material sorptive extraction (MMSE) 法によりヘッドスペース内の香気成分を捕集し、ジクロロメタンによって脱着させGC/FID分析に供した。成分の同定は、標準試薬を用いた保持時間の比較およびGC/MS分析により行った。官能評価による各種粉山椒の香りの類似性の評価には分析型パネルによるナッピング法を用いた。得られた結果は、クラスター分析Ward法および多因子分析法を用いて評価した。
【結果】香気成分分析の結果、主要な香気成分としてミルセン、リモネン、β-フェランドレン、シトロネラール、酢酸ゲラニル等が検出された。各成分の組成は産地ごとに特徴を示しており、クラスター分析の結果5グループに分類された。官能評価では4つのグループに分類された。香気成分分析と官能評価の分類結果との間には一致性があり、香気成分分析の妥当性が見られた。以上のことから、各種山椒を香気成分分析によって特徴づけることができた。

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