日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-50
会議情報

ポスター発表
漁業従事者の家庭における未利用魚の利用について
*後藤 月江三木 章江渡邊 幾子植田 和美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】近年、魚体のサイズが不揃い、漁獲量が少なくロットがまとまらないなどの理由から、非食用や低価格でしか評価されない未利用魚が注目され、有効活用しようとする動きが広まっている。我々は、徳島県海陽町鞆浦漁業協同組合との共同研究により未利用魚の有効活用について検討をしてきた。本研究では、漁業に携わる家庭における魚食の現状と未利用魚として扱われる魚種の特定や活用の現状を明らかにし、有効活用につなげることを目的としてアンケート調査を実施した。

【方法】徳島県漁業協同組合、女性部会に所属し、家庭において主に調理を担当されている方を対象として、2018年2月~3月に自記式、郵送調査法によりアンケート調査を行った(配布数186通、有効回収率36%)。なお、本調査は四国大学倫理委員会の承認を得て行った。
【結果】家庭における魚の入手法は「大部分を家族が漁獲」が55%、「もらう」が21%であった。日常における喫食率の高い魚はアジ(55%)、タチウオ(45%)、サバ(42%)で55種類の魚種名が挙げられた。未利用魚の認知では「知っていた」が18%と低く、漁業従事者における未利用魚の認知は低いことが分かった。家庭における未利用魚の喫食状況は「食べない」および「廃棄する」を合わせると約50%となり、漁業従事者においても未利用魚が活用されていなかった。未利用魚としては63種類の魚種名が挙げられた。食べている未利用魚の魚種は38種類で、喫食率の高い魚はエソ(15%)、シイラ(15%)、タチウオ(12%)で、揚げ物や焼き物など様々な調理法で食べられていた。漁業従事者においても約50%の者が未利用魚を活用していないことから、さらに未利用魚の活用について検討し広く発信する必要があると考える。
著者関連情報
© 2018 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top