抄録
【目的】近年、日本の女子学生において朝食欠食により性機能異常が誘発される可能性が示されている。朝食欠食は概日リズムにおける活動期の開始時での食事制限に相当する。そこで概日リズムに反する食事摂取が若年女性に及ぼす影響を検討する目的でラットによる実験を施行した。
【方法】8週齢のWistar系雌性ラットを暗期と明期に自由給餌 (Certified Diet, AIN93G) する2群に分類し、4週間制限した上で食餌摂取量と体重増加を毎日測定して全日自由給餌のコントロール群のそれと比較した。
【結果】4週間の食餌制限期間の体重増加は明期自由給餌群(非活動期食餌摂取群)において有意に低下した。食餌摂取量に関して第一週は暗期と明期の両群においてコントロール群に比して有意に低下していたが、暗期自由給餌群(活動期食餌摂取群)においては徐々に食餌摂取量が回復した。一方で、明期自由給餌群では第四週に至るまで、食餌摂取量がコントロール群に比べ20%の低下を継続した。
【考察】本研究により概日リズムに反する食事摂取が長期的に若年雌性ラットの発育を抑制する可能性が示された。暗期と明期の食餌制限による食餌摂取量と体重増加の群間差は食欲や摂取した食餌の代謝などの観点からさらに検討する必要があると考えられた。