日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k16
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
新潟県の家庭料理 主菜の特徴
主菜にみる食文化の特徴
*伊藤 直子玉木 有子佐藤 恵美子・県責任者山口 智子伊藤 知子太田 優子立山 千草小谷 スミ子長谷川 千賀子松田 トミ子山田 チヨ渡邊 智子
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キーワード: 新潟県, 主菜, , , 干物魚
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抄録

【目的】『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じた聞き書き調査結果から、昭和35~45年頃までに定着し、現在も食される新潟県の主菜について報告する。
【方法】村上、新潟、長岡、柏崎、魚沼、上越、佐渡の7地域の主菜について検討した。
【結果】日本海に面した新潟県は海岸線が長く、148水系の河川が流れ込むため、水産資源や自然環境に恵まれている。村上地域は、鮭をいよぼや(魚の中の魚)と呼び、世界初の自然保護増殖を行い、鮭の食文化が発展した。いちびれ(胸鰭付近の身)を神棚に供え、「子皮煮」や中骨を煮た「どんがら煮」等、鮭全体を余さず利用する。村上・新潟地域では、鮭の「焼き漬け」「塩引き」「昆布巻き」「醤油はらこ」等をよく食す。一方、上越地域とくに糸魚川では、鰤が年取り・正月には欠かせない。かまは神棚に供え、「照り焼き」「刺身」「あら汁」等で一尾全て食す鰤の食文化がある。柏崎地域は、イカの胴にもち米を詰めて甘辛く煮た「いかず巻き」、干したガンギエイを戻した「かすべの煮つけ」がある。内陸部で雪深い魚沼地域や小千谷では干し鱈を戻して甘辛く煮た「棒鱈煮」、身欠き鰊を戻し調味液と山椒の葉で漬けた「鰊の山椒漬け」、長岡地域では棒鱈煮になす等の夏野菜を加えた「夏煮もん」があり、干物魚の料理はハレ食にもなり、貴重なタンパク質源でもあった。また、新潟全域で食されている具沢山の煮物「のっぺい」は、主菜や副菜、日常食やハレ食になり、地域により切り方、煮汁の量、とろみの有無等様々で、里芋の他に鶏肉を入れることも多いが、新潟地域では鮭、はらこも入れる。佐渡では、がんもどき・さつま揚げ等を入れた「佐渡煮しめ」が作られ、大勢で集まって食す。

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