日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-7
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口頭発表
他の味成分との相互作用を利用した高塩分濃度食品における減塩方法の検討
*竹澤 夏菜石川 匡子
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抄録

【目的】我々はこれまで、有機酸との相互作用による塩味の増強が減塩につながることを報告してきた。しかし、高濃度の有機酸添加は味のバランスを崩すため、ラーメンスープのような高塩分食品に対応できない問題があった。そこで本研究では、うま味成分や酸味抑制剤を利用することで、高塩分食品に対しても減塩が可能かどうかを検討した。
【方法】<酸味およびうま味添加による減塩効果>以下2つの水溶液を調製し、NaClもしくはNaCl+MSGとの二点比較法により味強度を官能評価し、減塩率も算出した。
①NaCl +クエン酸:NaCl 1.5%にクエン酸0.0018%~0.075%を添加した。
②NaCl+MSG +クエン酸:NaCl 1.5% + MSG 0.5%にクエン酸0.01%~0.035%を添加した。
<酸味抑制剤の効果>NaCl 1.5% + MSG 0.5% + クエン酸0.03%溶液を酸味基準値10点として、リン酸化オリゴ糖Caを0.1~1%添加した際の酸味強度を点数法にて評価した。
【結果】食塩水にクエン酸のみを添加した際、いずれの添加濃度でも味の増強が確認できた。0.0025%では酸味は感じられず塩味のみが増強されたが、徐々に酸味が増し、0.025%以上では味全体が強く感じられるものの酸味が不快に感じられた。さらにMSGを添加すると、より強い味増強が確認できた。クエン酸濃度の増加に伴い、うま味と塩味が徐々に弱くなったが、0.022%添加では味強度が塩味:酸味=1:1になり、好ましい味と評価された。この溶液をNaCl+MSGと比較した減塩率は20%であった。リン酸化オリゴ糖Caは、高濃度添加すると苦味・渋味を感じるが、0.5%添加では不快味なく酸味抑制が可能で、減塩率は25%となり、さらなる減塩が可能となった。以上の結果から、酸味抑制剤により高濃度の有機酸添加が可能になり、うま味と併用することで高塩分食品においても味の相互作用を利用した減塩が可能になった。

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