日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k43
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
大分県の家庭料理 主菜の特徴
新鮮で豊富な素材、歴史と知恵の詰まったもの
*西澤 千惠子立松 洋子望月 美左子高松 伸枝宇都宮 由佳篠原 壽子
著者情報
キーワード: 大分県, 主菜, 豊富な食材
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】伝統的な地域の料理が伝承されにくくなっている現在、大分県の次世代に伝え継ぐ家庭料理を暮しの背景と共に記録し家庭料理研究の基礎研究とするだけではなく、家庭や教育現場でも利用可能な資料とすることを目的とした。
【方法】本研究は日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき、平成24~26年度に大分県内8地域における昭和35~45年頃までに定着していた家庭料理について、60歳代以上を対象とし聞き書き調査を行なった。この調査内容から、大分県で食されていた主菜とその特徴について検討した。
【結果】大分県は九州の北東部に位置し、東側は豊後水道に面し、西側が九州山地で、その間に平野と盆地が点在している。したがって自然に恵まれ食材が豊富である。さらにかつてはキリシタン大名の大友氏の居城があり、江戸時代には日田が天領になり九州の中心地であったという歴史がある。これらの自然と歴史を背景に人々の生活の知恵が加わり、バラエティーに富んだ料理が発達してきた。
新鮮な素材を使ったものには、海や川の魚の刺身や焼きもの(ハエ照り焼き)、煮もの(どじょう料理、川魚の甘露煮)、それら使った練りもの(すりみ揚げ、くじゃく)がある。海から遠い竹田地方の貴重な海の大きな魚の内臓をゆでて一品にしたもの(頭料理)や、日田地方の鶏の足を甘辛く煮たもの(もみじ)があり、材料の全てを使い切っているのが特徴である。さらに海から遠い日田地方では北の海でしか捕れない鱈のえらと内臓を旧盆に食べる習慣(たらおさ)がある。畜肉では鶏肉を天ぷらにしたとり天や水炊き、シシ肉を用いた三郎鍋があげられる。豆腐から作った田楽も作られている。現在でも日常的に作られているものがある一方で、多くのものが一般家庭では作られなくなって来ているのが現状である。

著者関連情報
© 2018 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top