日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-5
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口頭発表
米麹と米麹甘酒の酵素活性および米麹甘酒により発酵させた食肉の変化
*辰巳 桃子鮫島 由香松井 徳光
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キーワード: 米麹, 甘酒, プロテアーゼ, 発酵,
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抄録

【目的】 近年、米麹に水を加えて調製した甘酒または塩麹中の酵素の分解力を利用し、肉などをより美味しくする調理法が普及し始めている。しかし、発酵させることで起こる食材の変化に関しては科学的に明らかにされていない。また、米麹甘酒の塩分濃度によるプロテアーゼ活性の違い、甘酒に使用する米麹の保存状態や保存期間による酵素活性の変化についても明らかにされていない。そこで、本研究では甘酒により発酵させた肉の成分変化および甘酒に使用する米麹のプロテアーゼ活性の違いを調べることを目的とした。
【方法】 合挽き肉(牛肉:豚肉=6:4)に甘酒または塩麹を混合し、5℃で2日間発酵させたものの遊離アミノ酸量をHPLC、コレステロール量をコレステロール測定キットで測定した。また、甘酒および塩麹のアミラーゼ活性をソモギーネルソン法、プロテアーゼ活性をローリー法で測定した。甘酒の塩分濃度は0~20%の範囲で設定し、甘酒調製の前と後に塩をそれぞれ加えたものについてプロテアーゼ活性を測定した。米麹の保存状態、保存期間によるプロテアーゼ活性の変化は、冷蔵(5℃)または冷凍(-20℃)で保存した米麹を定期的にサンプリングして測定した。
【結果】 甘酒および塩麹で発酵させることで甘味、うま味を示す遊離アミノ酸が増加し、塩麹で発酵させた方がより増加した。コレステロール量は発酵させることで減少した。アミラーゼ、プロテアーゼ活性は甘酒より塩麹の方が高かった。甘酒のプロテアーゼ活性は塩を加えることで高くなり、調製前に塩を加えた甘酒は塩分濃度12%以降急激に活性が増加した。米麹のプロテアーゼ活性は保存期間の経過とともに増加した。また保存状態による活性の大きな違いはなかった。

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