日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-8
会議情報

口頭発表
電子スモーク法による燻煙時間が燻製フグの品質に及ぼす影響
*福田 翼江上 渚中本 圭祐南 祥寛辰野 竜平古下 学
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】燻製は、木材チップなどを燃焼させた際に発生する燻煙を食品に当て、乾燥させながら燻煙成分を付着させ、貯蔵性と独特の燻香を付与させる加工法である。近年、乾燥と燻煙を別工程で行う電子スモーク法が開発された。本手法により、数十分程度の短時間かつ常温での冷燻が可能となった。しかしながら、本製造法における知見は乏しく、燻煙時間が水産物の品質に及ぼす影響は明らかではない。そこで、シロサバフグを対象に電子スモーク法による燻製品の製造を試み、燻煙時間の影響を調査した。

【方法】シロサバフグは、解凍品を用いた。解凍したシロサバフグは、調味液に一昼夜漬け込み、乾燥装置にて乾燥(20℃・90 min)を行った。乾燥したシロサバフグは、電子スモーク法を用いて燻煙処理を行った。燻煙時間は、0 min、10 min、20 min、30 min、および60 minとした。

【結果】燻煙時間は、一般生菌数、水分含有量、pH、塩分、タンパク質量および色差への影響は確認されなかった。一方、遊離アミノ酸量は、燻煙時間0-30 minにおいては時間経過と供に減少した。しかし、燻煙時間60 minの遊離アミノ酸量は、燻煙時間30 minよりも増大した。テクスチャー評価は、燻煙時間による影響が見られ、燻煙時間60 minが最も硬かった。味評価では、旨味・苦味・渋みに差はなかったが、燻製時間0 minおよび60 minの旨味コクは燻製時間10 min、20 minおよび30 minよりも強くなった。におい評価では揮発性揮発成分のピークが確認され、燻製時間0 minが37種、燻製時間10 minが37種、燻製時間20 minが41種、燻製時間30 minが41種、燻製時間60 minが41種あった。官能評価(n=8)を行った結果、燻製時間が増加していくごとに嗜好性が向上し、総合評価として燻製時間60 minが最も高い評価を得た。

著者関連情報
© 2018 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top