日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1P-33
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ポスター発表
佃煮調理におけるショウガ含有成分の変化と調味料の影響
*山崎 英恵西村 大樹小山 鐘平
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抄録

【目的】ショウガの辛味成分は主にジンゲロール類であり,ジンゲロールはその中でも最も存在割合が大きい。ジンゲロールは加熱や乾燥といった脱水反応によって,より辛味の強いショウガオールへと変化する。これまで,加熱調理の違いによるショウガオール生成量については,いくつかの報告がなされているが,調理時に用いられる調味料の影響については不明である。本研究ではショウガの佃煮調理における調味料添加がジンゲロールからショウガオールへの変換に及ぼす影響について検討した。

【方法】加熱時間,調味料の違いによるジンゲロール,ショウガオール含有量の変化を,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。ジンゲロールとショウガオールの同定は未知試料と標準溶液のHPLCにおけるリテンションタイムの一致により決定した。

【結果および考察】砂糖や醤油と一緒に調理する佃煮では,水煮よりもショウガオールが顕著に増加していた。加熱時間が長くなればなるほど,ジンゲロールは減少し,ショウガオールが増加する経時的変化が認められ,特に加熱2時間を超えてからの変化が著しいことが示された。さらに,佃煮に使用した調味料ごとに含有量変化を調べた結果,冷凍ショウガに対してすべての調味料でジンゲロールの減少およびショウガオールの増加が認められ,なかでもショウガオールの著しい増加には,醤油添加の寄与が大きいことが明らかとなった。一方で,ジンゲロールの減少量がそのままショウガオールの増加量とはならず,ジンゲロールからショウガオール以外の物質への変化,あるいはショウガオールから別の物質への変化が考えられた。

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