主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】スチームコンベクションオーブン(以下「スチコン」)は,T・T管理が正確に行えるほか,調理従事者の労力軽減,調理作業時間の短縮といった面から,大量調理の現場で広く普及している。オーブンモードは,庫内に熱風を均一に行き渡らせることで,むらなく焼き上げることができるとされるが,熱風のあたる場所によっては焼きむらが生じることがある。その解決のためには,使用するスチコンの焼き色特性を把握し,焼きむらを軽減させる操作が重要である。本研究では,オーブンモードにおける焼き色特性を把握するとともに,調理現場で再現可能となる簡易的な焼き色特性把握のための方法について検討することを目的とした。
【方法】試料として,薄力粉,牛乳,上白糖,ベーキングパウダーを調整したバッター生地を用い,スチコン20段のうち奇数段計10段について,ホットエアーモードで加熱し,生地内の温度上昇および焼成後の焼き色(Lab値)を測定した。生地内の温度上昇は,ボタン型サーモロガーを加熱前の生地内に各段5カ所埋め込み,加熱開始から10秒間隔で30分間測定した。ロガーのみをホテルパンに設置した空焼き測定も行った。焼き色は,焼成生地を翌日72区画に分割し,各区画3回,カラーリーダーにて測定した。
【結果および考察】空焼き測定では,スチコンの使用段や位置による差はみられなかったが,バッター生地では,生地内の温度上昇速度,上昇温度の積算値,焼成後の色差値とも使用段および位置による差がみられた。また,積算温度と色差値にも関連性が認められた。これより,スチコンの焼き色特性を把握する簡易的方法として,バッター生地を焼成した焼き色を指標とすることが有効であると示唆された。