主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】米粉はグルテンを含まないため製麺が難しく,麺類についてはまだ製品の数は少ない。米粉で生パスタを調製するにはグルテンの代わりとしてつなぎとなる副材料が必要である。本研究では,コシのある米粉パスタ麺を開発するために,粘度を安定化させる架橋澱粉(加工澱粉)と,一部糊化した澱粉の使用を試みた。
【方法】米粉(うるち米),未加工のタピオカ澱粉,リン酸架橋澱粉,アセチル化リン酸架橋澱粉,食塩,オリーブ油, 鶏卵をそれぞれ使用した。 また一部の加工澱粉については糊化させ,これらを糊化澱粉として使用した。製麺については,押し出し式製麺機を使用し太さ2.0mmの麺を調製した。製麺後室温で2時間放置後,生麺を片手ザルに入れ,熱湯中で1分間加熱した。ゆで上がったら,すぐに氷水で10秒間冷却し,ゆで麺とした。物性測定については,ゆで上げ2分以内の米粉パスタ麺を約10cmに切り,破断試験を行った。破断試験には,クリープメータを用いた。一つの試験区につき3点の試験を行い,平均値を算出した。
【結果および考察】糊化した澱粉が米粉パスタ麺の物性に与える影響については,全て粉末の澱粉で調製された試験区は,一部糊化した澱粉が使用されている試験区に比べ,全て破断荷重の値が低かった。製麺性については,糊化澱粉を使用した試験区が,生麺の状態または茹でた後の状態においても切れにくい麺を調製することができた。加工澱粉が米粉パスタ麺の物性に与える影響については,未加工の澱粉で調製した試験区に比べ,リン酸架橋澱粉,アセチル化架橋澱粉を調製した試験区の破断荷重の値が高かった。粘度を安定化させる架橋澱粉(加工澱粉)を使用したため破断強度を高めることができたと考えられる。