主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】キノコは食用のみならず薬用として機能性が評価されている。これまで十数種類のキノコを対象に,ESR解析によるラジカル評価や抗酸化活性の評価を行ってきた。調理においてキノコの石づきの部分などは廃棄されることが多い。石づきなど廃棄物に付加価値を見出し,再利用することを目的とし,キノコの部位による抗酸化活性やミネラル含量の差異を検討した。
【方法】試料はアンニンコウ(Grifola gargal),ササクレヒトヨタケ(Coprinus comatus),ヤナギマツタケ(Agrocybe cylindracea)2品種(愛知県が開発したしゃきっこ1号,しゃきっこ2号)の計の4種類を用いた。生キノコを傘,柄,石づき,基部などの部位に分けて凍結乾燥粉末にした。この粉末試料を蒸留水で抽出し,遠心分離(10℃, 10000 rpm, 10 min)した上澄み液を測定試料とした。抗酸化活性はDPPH (2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl)法を用い,Trolox相当量で算出した。ミネラル含量は塩酸抽出後,原子吸光分光光度計(島津製, AA-6200)にて測定した。
【結果および考察】抗酸化活性測定の結果,4種のキノコ子実体の中でササクレヒトヨタケの活性が最も高かった。さらに,各キノコの生100g当たりで最も活性の高かった部位は,しゃきっこ1号で柄,しゃきっこ2号で傘,アンニンコウで基部,ササクレヒトヨタケで傘であった。このようにキノコの種類により活性の高い部位が異なった。Fe,Cu,Mnの含量は部位によって異なり,Mnは石づきに最も多く含有していた。また生100g当たりの抗酸化活性とCu含量との間に正の相関がみられた。