日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-28
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ポスター発表
豆乳および牛乳エスプーマへの増粘剤添加が物理化学および官能特性に及ぼす影響
*濟渡 久美長谷川 莉子石川 伸一
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抄録

【目的】「エスプーマ」は,亜酸化窒素(N2O)や二酸化炭素(CO2)を使用し,食材を泡沫状にする調理法,及び出来上がった泡沫を意味する。滑らかであるが気泡が消滅しやすいため,食事提供においては安定性の向上が望まれる。本報告では,液状のたんぱく質食品として代表的な牛乳と豆乳を用いて増粘剤添加によるエスプーマへの影響を検討した。

【方法】豆乳,牛乳それぞれに,ゼラチン・ι-カラギーナン・キサンタンガムを3段階濃度で溶解し,専用容器にCO2・N2Oを充填し,調製したエスプーマを試料として安定性,起泡性,物性測定を行った。官能評価は,増粘剤無添加攪拌泡沫,N2O,CO2,0.2%ι-カラギーナン添加N2Oの豆乳エスプーマ4試料について,「飲み込みやすさ」「べたつきやすさ」「香り」「甘味」「苦味」「総合評価」6項目を5段階評価で,18〜29歳(若年者)男女54名,64〜85歳(高齢者)男女14名を対象に2回実施した。

【結果および考察】増粘剤無添加のエスプーマの安定性について,牛乳エスプーマは豆乳エスプーマと比較して液体分離速度が速くCO2,N2O両方で分離したが,豆乳COは分離しなかった。起泡性について,牛乳エスプーマでCO2の方がN2Oと比較して高い傾向がみられた。増粘剤添加のエスプーマは添加濃度の上昇に伴い安定性が上昇し起泡性が低下した。ゼラチン,キサンタンガムは牛乳,豆乳どちらも液体分離を抑制したが,ι-カラギーナンは豆乳のみ液体分離を抑制した。官能評価において,若年者では甘く苦味がないものが好まれたが,高齢者では苦みの強いものを好みとする者もおり,若年者と高齢者で好みや味の感じ方が異なることが示唆された。

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