日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-31
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ポスター発表
製造方法の違いによるポテトサラダのおいしさ
*下畑 陽美入江 知紗吉村 由祐子上地 利征
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抄録

【目的】家庭やレストランにおいておいしく作るポテトサラダのレシピはあるが,その科学的根拠は明確になっていない。そのため,惣菜など工業的に製造したものについては同じようなおいしさを再現するのが難しかった。今回,モデルケースとなるおいしいポテトサラダを作成し,そのミクロ構造からおいしさの解明を試みた。

【方法】モデルポテトサラダの調製 1. 完全にじゃがいもを冷却した後マヨネーズと和える手法(冷却芋) 2. 粗熱をとった後マヨネーズと和える手法(粗熱芋) 3. 加熱直後にマヨネーズと和える手法(熱々芋)を試料とした。これらを共焦点レーザー顕微鏡にて構造分析を行った。また,同試料を用いて官能評価を実施した。

【結果および考察】共焦点レーザー顕微鏡の構造分析結果と官能評価より,下記(1)〜(3)が示唆された。

(1)冷却芋はマヨネーズの乳化粒子が微細なまま分散していて,マヨネーズと芋の風味がバラバラに感じられた。

(2)粗熱芋はマヨネーズの乳化粒子がやや粗大化したものが混在していて,マヨネーズと芋の風味がバランスよく感じられた。

(3)熱々芋はマヨネーズの乳化粒子が粗大化したものが大部分をしめていて,油の風味が強く感じられた。

 なお,同条件を工業的に再現するため乳化粒子の異なる2種類のマヨネーズを用いてポテトサラダを調製し評価したところ,(2)の様な効果を得られた。ポテトサラダのおいしさに影響する因子は様々あるが,マヨネーズの乳化状態がおいしさに影響していることが示唆された。

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