日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-32
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ポスター発表
低温スチーミングの加熱温度によるコマツナのアスコルビン酸含量の変化
*岩田 惠美子後藤 昌弘
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抄録

【目的】家庭用のオーブンレンジにもスチーム機能が搭載されているものが増え,一部の機種では低温蒸し機能と,その温度設定が可能なものがある。これらの機能を用いた低温スチーミング加熱により,食品の成分にどのような変化がみられるのかを明らかにすることにした。そこでまず,アブラナ科野菜のコマツナを用い,加熱による損失が大きいアスコルビン酸含量を測定し,加熱温度と時間がどのように影響するのかを調査した。

【方法】コマツナ(奈良県産水耕栽培)は,奈良市内の小売店で購入した。加熱は,オーブンレンジ(東芝製ER-SD5000)の低温蒸し機能を用いて60℃,80℃,100℃の加熱をそれぞれ5分,10分,15分実施した。庫内の温度変化は,データロガー(OMRON製ZR-RX40V)で測定した。アスコルビン酸は加熱前(生)と加熱後の試料を用い,メタりん酸を用いて抽出した。アスコルビン酸含量の測定はジニトロフェニルヒドラジン法を用いた。

【結果および考察】アスコルビン酸含量は生と比べ,60℃加熱ではすべての時間で有意に増加し,約3倍〜4倍量となった。また,60℃5分加熱と比べ,10分加熱が有意に高くなった。しかし,80℃,100℃の加熱では生のもの,さらにすべての温度,時間との間で有意な差が認められなかった。これらの結果から,コマツナでは,60℃のスチーミング加熱がアスコルビン酸含量を著しく増加させることが明らかとなった。本研究は,JSPS科研費(JP18K02197)の助成を受けたものである。

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