日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2P-55
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ポスター発表
包丁技術向上のための調理特訓の有用性
*加藤 美穂上田 洋子
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抄録

【目的】栄養士養成校において「包丁技術」の習得は必須であるが,近年の入学者の傾向として,入学時の調理技術が低く,授業内での指導には限界がある。また,包丁技術向上に関する明確な報告書はなく,最善策は不明である。そこで,包丁技術向上のために調理特訓を一定期間行い,技術向上について検討を行った。

【方法】対象は本学2年生10名とし,人参の千切りを5cm×2mm以下になるよう5日間連続で30分間特訓した。技術の確認として,3分以内に切れた人参の重さと,千切りにした人参をランダムに10本選びその重さと長さおよび幅を計測した。測定は,特訓前,5日目の特訓後,1か月後に行った。さらに10cmのきゅうりを2mm以内の小口切りにする所要時間と枚数を計測した。

【結果および考察】人参は,特訓前の幅が基準よりも太くなり,3分間に切れた重さも重くなった。5日後では,特訓前よりも有意に細くなり,薄く切る技術の向上が認められた。1か月後では,5日後と比べて幅に有意な差は認められなかったが,切れた量が減っていた。また,包丁技術の応用を確かめるためにきゅうりの小口切りで検討したところ,きゅうりの枚数は,特訓前と比較して5日後,1か月後では有意な差は認められなかったが,個別に見ると10枚以上増えている者もいた。しかし1か月後では枚数が減っている者が大半であった。また,所要時間では5日後より特訓前の方が短かったが,精度が劣っていた。さらに1か月後では,5日後より時間が長くなった。以上の結果から特訓により技術は向上するが,包丁を使用しない期間が長くなると技術は低下すると推察される。これらのことから,短時間でも毎日練習をすることが重要であると考えられる。

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