日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: P-k45
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特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
鹿児島県の家庭料理 副菜の特徴
*森中 房枝木之下 道子木下 朋美山下 三香子山﨑 歌織福元 耐子新里 葉子大富 あき子
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キーワード: 副菜, 家庭料理, 鹿児島
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抄録

【目的】日本の南端に位置した鹿児島は,温暖な気候に恵まれ,山や海に近く,南の島々や中国,朝鮮からの生活文化の影響を受けてきた。先に調査・発表した「主食」「主菜」「おやつ」では先人たちの「日常」と「行事」を区別し,生活に潤いとハリをもって生活を営んでいたことを述べた。副菜では,日常の御飯のおかずとしての意味合いが強い。漬物や佃煮,汁物を含めた副菜について鹿児島の食の特徴を探ってみた。

【方法】平成24〜26年に聞き書き調査した12地区を中心に「伝え継ぎたい副菜」と郷土誌やふるさとの食のレシピ集等を併せて資料とした。

【結果および考察】聞き書き調査からみえてきた昭和30年から40年代の副菜は,日常の生活が見え隠れする。山間部では野菜を作り山菜などを採って1年分の食糧として保存している。調理法としては和え物や炒めもの,汁物,佃煮や漬物の利用が多い。和え物では季節ごとの食材を用い,たけのこの酢味噌和えやおかか和え,よごし(白和え),といもがらやしぶり(冬瓜)・にがごい(ニガウリ)の和えものや酢の物などがある。海沿いでは海産物を使ったものが多く,すのり(もずく)やざこ(きびなご)などの酢の物や酢味噌和え,煮干しなます,ところてんなどが見られる。炒めものでは豆腐の副産物であるおからを使った,きらす(おから)の炒めやいーあげ(炒り豆腐)がある。また,ゆなます(煮なます)は正月餅つき時やもてなし料理としてよく作られている。汁物では身近にある材料を入れた実だくさんの汁物が多い。また,保存食として漬物や佃煮は欠かせないものであった。副菜の特徴から当時の暮らしぶりが伺える。

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