日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2B-13
会議情報

口頭発表
クリームの温度がエスプーマ法による魚料理に及ぼす影響
*小泉 和子小泉 昌子和田 涼子峯木 眞知子
著者情報
キーワード: エスプーマ, , クリーム
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】近年,高齢者の咀嚼・嚥下能力低下に応じた高齢者食の開発が進んでいる。エスプーマ法による泡状食利用を考え,主菜として魚料理を検討してきた。今回は,その調製に用いるクリームの温度が調製品にどのような影響を与えるのか調べた。

【方法】生クリーム,植物性油脂クリーム,豆乳クリームの3種のクリームを室温(25℃)と冷蔵(5℃)にし,エスプーマ法により泡状のクリームを得た。また予備実験より,泡の形成に効果があると分かった味噌,乾燥卵白をクリームに添加し泡状のクリームを得た。これらについて,抽出後30分間10分ごとに比重,離水量を測定,泡の状態を見るために抽出直後のクリームをスライドガラスに塗抹して光学顕微鏡で観察し,クリームの温度が泡の形成に及ぼす影響を調べ,エスプーマ法による魚料理に影響を与えるか同様の方法を用いて調べた。

【結果および考察】生クリームにおいて,冷蔵クリームの比重は室温クリームより有意に小さかった。他2種のクリームは,温度の違いによる有意差はみられなかったが,室温放置後は冷蔵クリームの比重が有意に小さかった。離水量は,生クリーム,植物性油脂クリームにおいて,冷蔵クリームが有意に少なかった。豆乳クリーム,味噌添加の植物性油脂クリームはいずれも離水がみられなかった。クリームの冷蔵により,エスプーマ法により得た泡は起泡性,安定性が向上した。調製した魚料理もこの結果と同様であった。クリームの温度はエスプーマ法による泡状食の起泡性,安定性に影響を及ぼし,クリームの温度が低い方がエスプーマ法に適していた。

著者関連情報
© 2019 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top