主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】通所リハビリテーション施設に通う高齢者の食習慣の実態を明らかにし,健康と関わりの深い腸内細菌叢との関連について検討した。
【方法】期間は2018年9〜10月,対象者は福岡県の通所リハビリテーション施設に通う同意の得られた高齢者80名(男性23名,女性57名)である。調査内容は属性,食習慣,排便習慣等の76項目である。採便後の腸内細菌叢のNGS分析は(株)テクノスルガ・ラボに依頼した。腸内細菌の種数は低多様性群,高多様性群の2群で解析を行った。解析はIBM SPSS Statistics ver.22を用いてχ2検定を行った。本研究は中村学園大学の倫理委員会の承諾を得た。
【結果および考察】対象者のBMI18.5未満のやせは男性13.0%,女性28.6%であった。BMI18.5未満と18.5以上で食習慣との関連を比較すると淡色野菜を1日150g以上食べるはそれぞれ15.8%,42.4%であり(p<0.05),果物を1日1回以上食べるは21.1%,56.0%であった(p<0.05)。食習慣と排便習慣で排便量を中バナナ1本に例えると1本以上は海藻類を1日1回以上食べると食べないでそれぞれ59.1%,14.8%であり(p<0.05),腸内細菌では高多様性群がそれぞれ61.1%,26.7%であった(p<0.05)。
以上の結果より,対象者のBMI18.5未満は全体の24.1%であり,野菜や果物の摂取量が少ないことが示唆された。今後の課題として低栄養予防の食事支援が重要であると考えられる。さらに,海藻類を1日1回以上食べることが排便量を多くし腸内細菌の種が多様であったことから,海藻類を取り入れた食事の提案が必要であると考えられる。