日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 2D-3
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口頭発表
ニンジンピューレ中の粒子が呈する口中感覚の評価に関する研究
*中野 優子早川 文代香西 みどり
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抄録

【目的】「ざらつく」「なめらか」といった粒子に関連するテクスチャーは,様々な食品のおいしさにおいて重要である。本研究では,ニンジンピューレ中の粒子が呈する口中感覚を機器測定および官能評価によって明らかにするとともに,パネリスト個人の嗜好傾向を考慮した試料の嗜好性評価を試みた。

【方法】煮熟後に皮を除去したニンジンをフードプロセッサーで破砕した後,回転数を2500,5000,7500,10000,15000 rpmの5段階に設定したホモジナイザーで粉砕し,ニンジンピューレを調製した。試料の粒子特性および物性を測定し,官能評価値との対応を確認した。また,5種のピューレの粒子感の強さと好ましさの評点をパネリストごとにプロットすることで,ピューレに対する個人の嗜好傾向を把握した。得られた嗜好傾向をもとにパネルを分類し,グループごとに試料の評点を求めた。

【結果および考察】ニンジンピューレにおいて,粒子サイズは粒子感の知覚に大きく影響した。また,クリープメータ(山電)を用いた水平方向の抵抗力の測定結果は,ピューレの粒子感と対応した。官能評価において,全パネリストの平均値では試料間の好ましさの評点に差はなかった。しかし,パネリスト個人の嗜好傾向からパネルを分類したところ,なめらかなテクスチャーを好む者と粒子感を好む者に分けられた。グループごとに各試料の評点を分析した結果,グループ間でなめらかさや粒子感覚の強さの評点に差はなかったが,好ましさの評価はグループ間で逆の傾向を示し,グループごとに見れば,試料間の好ましさは有意に異なっていた。以上より,特に試料の好ましさを評価する場合には,嗜好の個人差を考慮した解析が有効であると考えられた。

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