主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】生活習慣病予防のため減塩は重要であると考えられるが,塩味を単純に低下させると料理のおいしさも低下する。減塩調理に関する研究報告は多数あり,その一例としてかつおだしの減塩効果(塩味増強効果)が挙げられる。これまでに我々は,だし風味を活かす特長を持つ淡口醤油とかつおだしを併用することで,低濃度の3%かつおだしで減塩効果を示すことを明らかにしている。今回,淡口醤油とかつおだしに微量の微粉砕鰹節を加えることで,さらに低濃度のかつおだしでも減塩効果が認められるかを検証した。
【方法】醤油,かつおだし,微粉砕鰹節,食塩で塩分濃度0.78%〜1.04%に調製した試料と食塩濃度0.90%の食塩水を比較して塩味の強い方を選択する2点識別法を行った。結果をプロビット法で解析し,減塩効果を評価した。
【結果および考察】淡口醤油と併用しても減塩効果が認められない,より低濃度のかつおだし「4%淡口醤油と2%かつおだし」に0.03%の微粉砕鰹節を添加した場合や,「4%淡口醤油と1%かつおだし」に0.06%の微粉砕鰹節を添加した場合に有意な減塩効果が認められた。なお,かつおだしと微粉砕鰹節の組み合わせや,淡口醤油と微粉砕鰹節の組み合わせでは減塩効果は認められなかった。また,同様の試験を濃口醤油で実施したが,すべて減塩効果がなかったことから,減塩効果にはだしの風味を活かす淡口醤油が重要な役割を果たしていると考えられる。
本研究により,淡口醤油にかつおだし・微量の微粉砕鰹節を併用することで,より低濃度のかつおだしでも減塩効果を発揮することが明らかとなり,低塩でおいしく仕上げる調味技術の一つとして有益であることが示唆された。