日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1P-17
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ポスター発表
タケノコにおける結晶と脂質の分布
*冨岡 佳奈絵横山 恵阿部 友衣子阿部 真弓佐藤 佳織鈴木 惇
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キーワード: タケノコ, 結晶, 脂質, 組織化学
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抄録

【目的】タケノコは,食物繊維が多いのが特徴である。食品成分表によると,茹でたタケノコの利用可能炭水化物は,推定値1.6%であり,たんぱく質,脂質,無機質も含まれる。組織化学的方法の観察により,タケノコのデンプンは,中部と先端に多く存在し,これらの部位の細胞質のタンパク質は少なかった。茹でたタケノコの組織には,結晶性の像を示す物質があった。本研究では,タケノコにおける結晶性の像を示す物質を組織化学的に調べた。脂質の分布についても同様に調べた。

【方法】材料は,市販のタケノコを用いた。このタケノコを米ぬかを加えた水で茹で,アク抜きをした。アク抜きしたタケノコの先端,中部および根元から試料(大きさ:約1.5cm)を切り取って,ドライアイス・アセトンで凍結した。試料をコールド・ミクロトームで薄切して,切片(厚さ:14〜16μm)を作製した。切片を,アリザリン・レッドS,コッサ法,およびズダン・ブラックBで染色した。結晶性の物質を調べるために,染色および無染色の標本を常光と偏光で観察した。

【結果および考察】偏光装置により複屈折を示す結晶が,無固定無染色の標本では,中部において所々に存在した。一部の結晶は,染色された標本にはなかった。アリザリン・レッドSおよびコッサ法での染色では,結晶は染まらなかった。このことは,結晶がカルシウムではないことを示す。アリザリン・レッドSの染色で残った結晶像は,溶媒に不溶の結晶である。結晶には,溶液に可溶と不溶な2種の物質が存在した。ズダン・ブラックB染色では,細胞間に顆粒状に染まった。微細な脂肪滴が存在し,維管束に多かった。

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