主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2019年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 中村学園大学
開催日: 2019/08/26 - 2019/08/27
【目的】馬鈴しょは,機能性を有することが報告されているが, 馬鈴しょ塊茎の保蔵や調理加熱によって機能性が変化するかは検討した例はない。そこで,各保蔵期間の馬鈴薯を加熱調理し,その機能性について検討を行った。
【方法】試料はホッカイコガネ, 男爵いも(北海道産)を用いた。馬鈴しょ試料は2017年10月に収穫し収穫直後および保蔵庫で4ヶ月間,8ヶ月間保蔵し,それぞれを皮付きの状態と脱皮した状態でスチームオーブンで加熱調理した。未加熱と加熱した後の試料のアンジオテンシン変換酵素阻害活性(ACE阻害活性),抗酸化活性(DPPH法)およびα-アミラーゼ阻害活性を検討した。
【結果および考察】ACE阻害活性では,ホッカイコガネでは生と蒸し加熱で比較すると蒸し加熱の方がやや活性が高くなる傾向にあった。皮付き,皮なしでの差はあまり顕著ではなかった。保蔵条件では保蔵期間の増加に伴い,蒸し加熱で顕著に活性が増加した。男爵いもでは,生で保蔵期間増加に伴って活性が低下したが,蒸しではやや増加した。抗酸化性では,トロロックス濃度において半分程度のやや強い活性が認められた。ホッカイコガネでは保蔵期間や皮の有無,蒸し加熱による顕著な差は見られなかった。男爵いもでは蒸し加熱後に活性がやや高くなり,さらに保蔵によっても増加をしていた。
α-アミラーゼ阻害活性では,ホッカイコガネは加熱によって阻害活性が増加する傾向が認められた。しかし保蔵により活性はやや低下していた。男爵いもについても加熱によりやや活性の増加が認められた。
これらの結果,全体的に蒸し加熱により活性の増加したものが多く認められることから,馬鈴しょでは加熱調理が生理機能性にプラスの影響を与えることが推察された。