日本調理科学会大会研究発表要旨集
2019年度大会(一社)日本調理科学
セッションID: 1P-27
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ポスター発表
ムクナ豆餡の最適な調製方法と和菓子への利用
*飯島 久美子廣田 成美岩井 あすか郡山 貴子
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キーワード: ムクナ豆, , 和菓子, L-DOPA
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抄録

【目的】ムクナ豆は,餡を調製し水晒しすることによりL-DOPAを除去できる。そこで,本研究では嗜好性の高いムクナ豆餡の最適な調製方法を明らかにし和菓子への利用を検討することを目的とした。

【方法】ムクナ豆餡の調製は,ムクナ豆を90℃で4時間以上浸漬し皮を剥いた。その豆を渋切りし新たな水で煮熟し裏ごし後,水晒しして水分を絞り生餡とした。練り餡は,生餡重量の60%の上白糖と20%の水を沸騰させ,生餡を入れて練った。和菓子は餡の使用割合の高い水まんじゅうと練り切りを選択した。文献調査により決定した一般的な調製方法(基準法)で調製した。抽出した不具合の改善方法を検討し,嗜好性の高い調理品の調製方法を決定した。

【結果および考察】ムクナ豆餡は,基準の方法では渋みとざらつきがあった。渋みは渋切り回数を基準の2回から5回に増やし,ざらつきは,篩での磨砕を煮汁ごとミキサーに入れ約30秒間粉砕する方法に変更することで改善した。水まんじゅうは基準法では生地の風味,なめらかさおよび餡の甘味の不足が挙げられた。風味は葛粉の割合を80%に,なめらかさは砂糖濃度を4%に,甘味不足は練り餡の糖濃度を40%に変更することで改善した。練り切り(水鳥)は,パサつき,ひび割れの改善のため,求肥の八升豆餡への混合,水あめの添加,作業中の乾燥対策で改善した。こなし(寒椿)は,水分量を減らすことで成形時の作業性を改善した。黄身時雨は,ひび割れが必要であるため,餡の水分量を減らし蒸気量の多い状態で一気に蒸し上げることでひび割れを入れることができた。以上より,ムクナ豆餡および各種の和菓子について嗜好性の高い調製方法が明らかとなった。

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