日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-1
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口頭発表
日本における麻婆豆腐の伝来と受容
−調味料・香辛料によるタイプ分類−
*福留 奈美小磯 華織
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抄録

【目的】現在、日本で食べられている麻婆豆腐には甘口から極辛口まで様々なタイプがある。本研究の目的は、中国から麻婆豆腐がいつごろ日本に入ってきてどのように日本の食卓に浸透したのかを明らかにし、調味料・香辛料の使い方から麻婆豆腐のタイプ分けを行い、料理の伝来と受容のプロセスを追うことにある。

【方法】まず、料理書・家庭科教科書・調理実習書などから麻婆豆腐や四川料理に関する情報と麻婆豆腐レシピを収集した。次に、麻婆豆腐レシピ125品の調味料・香辛料に着目して、出現頻度が5以下のものを含むレシピを除き、101品について階層型クラスター分析(ウォード法)を行い、得られたレシピ群に対し調味料・香辛料の組み合わせから特徴づけを行った。また、2020年6月現在、市場に出回るレトルト製品「麻婆豆腐の素」25品を集め、原材料名に記載された調味料・香辛料の種類からクラスター分析による分類を行った。

【結果】1)文献調査から、日本語の麻婆豆腐レシピの初出は『中国料理』(王馬熙純著、1958年6月)で、麻婆豆腐を日本に紹介したとされる料理人陳建民による四川飯店開業(1958年11月)と同年であった。その後、各種料理書での紹介と並行してNHK「きょうの料理」(王馬熙純1959、陳建民1966)の放送や「麻婆豆腐の素」の発売(丸美屋 1971)が麻婆豆腐の一般家庭への浸透に寄与したと考えられた。2)クラスター分析により、101品の麻婆豆腐レシピは調味料・香辛料等の組合せで特徴づけられる和風(13品)、中華風(43品)、和中折衷型(45品)の3タイプに分けられた。3)「麻婆豆腐の素」25品に使用された調味料・香辛料は、和風・中華風に2分類された。

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