日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-56
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ポスター発表
マイタケ部位の抗酸化活性とミネラル含量
*菅野 友美奥村 裕紀三宅 義明
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抄録

【目的】マイタケ(Grifola frondosa)は周年流通しているため,馴染みのキノコである。我々はマイタケ菌さんに鉄結合たんぱく質であるトランスフェリンが存在することを報告している。そこで,マイタケ部位の抗酸化活性とミネラル含量を測定すると共に,菌さん中のタンパク質を分子サイズで分画し,鉄含量と抗酸化活性との関連を検討した。

【方法】試料のマイタケは北海道産のジャンボマイタケを用いた。生のマイタケを菌さん,柄,根,根元に分けて凍結乾燥粉末にした。この粉末試料を蒸留水で抽出し,抗酸化活性はDPPH法とH-ORAC法を用いてTrolox相当量で算出した。ミネラル(鉄,銅,マンガン)含量は粉末試料を塩酸抽出後,原子吸光分光光度計にて測定した。ゲルろ過クロマトグラフィーは菌さんの粉末試料を20mM トリス塩酸緩衝液(pH7.4)で抽出し,Sephacryl S-200カラムを用いて分画した。各フラクションの鉄含量(メタロアッセイ鉄測定キット)と抗酸化活性を測定した。

【結果・考察】マイタケの部位別抗酸化活性は菌さんが最も高い活性を示した。ミネラル含量のうち,鉄含量は根が最も高い値を示した。マイタケタンパク質のゲルろ過クロマトグラフィーでは,フラクションナンバー(FN)14と24で抗酸化活性のピークがみられ,FN14ピークは粗タンパク質量のピークと重なることから抗酸化活性をもつタンパク質の存在が示唆された。FN24ピークは280nmの吸光度を吸収しない低分子の抗酸化物質ではないかと思われた。また,FN30は最も鉄含量が高いことから,鉄結合タンパク質の可能性が示唆された。

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