日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-61
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ポスター発表
寒天が錦玉(和菓子)の物理特性に及ぼす影響
*石川 茉優村上 陽子
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キーワード: 寒天, 物理特性, 和菓子, 錦玉
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抄録

目的和菓子は水分量により,生菓子,半生菓子,干菓子に大別される。「錦玉」は生菓子の一つであり,寒天と砂糖を煮溶かして,型に入れて固めて作られる。生菓子である錦玉を乾燥させると,「琥珀糖」と呼ばれる半透明の半生菓子となる。本研究では,水分量や見た目により,これら和菓子の分類や名称が変化することに着目し,錦玉と琥珀糖について検討を行うこととした。先行研究をみると,錦玉の形状や水分量,物理特性に関する報告はほとんどないのが現状である。本研究では,寒天が錦玉の物理特性に及ぼす影響について経時的に検討することとした。

方法錦玉の調製方法について,材料や配合割合に関して文献調査を行った。文献調査の結果,錦玉の材料は寒天,糖類,蒸留水であった。調製方法として,寒天を洗浄・浸漬後,水を加えて加熱・溶解し,さらに糖類を加えて溶解させた。ザルでこした後,流し缶に流し入れ,凝固させた後,錦玉を切り分け,乾燥させた。本研究では,製法の異なる3種類の寒天(粉寒天,糸寒天,棒寒天)を用いた。調製した錦玉について,色彩構成,物理特性(針入度)などを経時的に検討した。針入度は,横溝らの方法により測定を行った。

結果・考察寒天の種類(粉寒天,糸寒天,棒寒天)が錦玉の物理特性に及ぼす影響について検討した。色彩構成について,糸寒天と棒寒天は同様の傾向を示し,粉寒天はこれらとは異なる傾向を示した。また,いずれの寒天を用いた場合も,高さ・重さ・針入度は時間の経過とともに減少した。その要因として,寒天の種類によって構成糖(アガロペクチン,アガロース)が異なるため,保水力に相違が生じて,硬さなどの物理特性に影響したと考えられる。

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