主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】ゲル化剤を使用して調製する食品ゲルは、ゲル化剤の組み合わせや塩類の添加により異なる物性の創出が可能だが、物性に対し原料間で交互作用を有することが多く、目指す物性のゲルを得るまでの試作回数が多くなる傾向にある。そこで本研究では原料添加量と物性特性の関係について、少ない測定データから最適パラメータの探索が可能な統計的手法である応答曲面法を用いて予測することを目的とした。
【方法】RO水にネイティブジェランガム、脱アシルジェランガムの2種類のゲル化剤と食塩を添加して調製したゲルを試料とし、各ゲル化剤と食塩の添加量は中心複合計画に基づいて決定した。調製したゲルの物性は、かたさ(応力)、凝集性、付着性、瞬間弾力性をクリープメータを用いたテクスチャー試験で測定した。応答曲面解析はゲル化剤と食塩の添加量を因子、物性測定値を応答として交互作用を含む2次の回帰モデルをあてはめて行った。得られた予測モデルの妥当性はLuck of Fit検定、自由度調整済み寄与率、分散分析から評価し、任意の原料添加量で調製した検証用試料の物性実測値と予測モデルから得た予測値の比較を行った。
【結果】かたさ(応力)と凝集性のモデルは統計的にも検証試料の実測値からも有用性を確認することが出来た。瞬間弾力性のモデルでは、Luck of Fit検定においてあてはまりの悪さが見られたが、自由度調整R2乗>0.9、分散分析のp値<0.05であり、検証試料の実測値と予測値の乖離が小さかったことから、瞬間弾力性の傾向把握に使用可能であることが示唆された。付着性のモデルでは統計的に有意性がなく自由度調整済み寄与率が0.5以下であったことから、付着性には原料添加量以外の因子の関与が大きいことが示唆された。