主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】我々は、フキ(Petasites japonicus)の機能性としてα-グルコシダーゼ阻害活性能を有することを見出した。しかし、フキの調理加熱によりα-グルコシダーゼ阻害活性能がどのように変化するかについては不明であり、その活用方法については知見が不足している。そこで本研究では、特にフキ(P. japonicus)について、加熱調理によりα-グルコシダーゼ阻害活性能がどのように変動するのか検討することを目的とした。
【方法】フキは、2020年6月に福島県只見町で採取された。採取後は速やかに4℃付近で冷蔵保存を行った。翌日、フキ葉身及びフキ葉柄については各調理(蒸す、煮る、茹でる、炒める、ゆでこぼす、茹でる(0.2%重曹添加))を行い、その後凍結乾燥、粉末化し試料抽出液を作製後、各試験(α-グルコシダーゼ阻害活性試験、総ポリフェノール定量試験、ヒートブロックによる加熱試験、モデルメラノイジン生成系を用いた加熱試験)に供した。
【結果・考察】フキ葉身及び葉柄加熱調理抽出物をα-グルコシダーゼ阻害活性試験に供した結果、コントロールと比較すると、約2〜8倍の阻害活性上昇が見られた。ヒートブロックによる加熱試験、モデルメラノイジン生成系を用いた加熱試験に供したところ、アミノカルボニル反応で生じる物質がα-グルコシダーゼ阻害活性能上昇に寄与していない可能性が示唆された。今後、関与成分や作用機序について詳細な検討が必要であるが、フキは加熱調理に適した食材であることが示され、今後様々な活用が期待される。