日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-95
会議情報

ポスター発表
過酸化物価測定用試験紙の開発および食用油への適用
*細内 安紀子斎藤 恒生数野 千恵子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】食用油脂や油脂が多く含まれる食品を長期保管すると風味が悪くなり、栄養価が低下する。さらに劣化が進むと不快臭や刺激臭を発する。食用油脂については、食品衛生法において酸価(AV)や過酸化物価(POV)などの規格基準や製造・取り扱いに関する指導要領が定められており、油脂劣化の指標としてPOVが用いられている。公定法の過酸化物価測定方法(滴定法)は実験室内での試験・検査に適しており、現場での試験方法として難点がある。そこで、現場で簡単に原料油脂のPOVが測定できる試験紙について検討した。

【方法】1)試料:市販のサラダ油、キャノーラ油、大豆油、ひまわり油、オリーブオイルを用いた。2)試料の調整方法:試料を日が当たる場所に放置し自動酸化させた。この油脂に新油を混ぜ、電位差滴定法(公定法)に基づき滴定を行いPOV10,20および30に調整した。3)POV試験紙:POVと反応する試薬を含ませた検出部をスティック状のプラスティックに貼り付けた。4)POV試験紙の操作方法:試験紙の検出部に試料を塗布し、放置した。放置後、精製水をかけて発色させた。発色具合を色見本と比較してPOV値を判定した。

【結果】POV試験紙の検出部はでんぷん、よう化カリウムの配合割合を検討した。本法を用いて油脂を発色し、あらかじめ作成した色見本と比較することにより、POV10〜30が判定できた。市販油への適用:POV10,20および30に調整した5種類の食用油についてPOVを測定した結果、本法と公定法は同程度の値が得られた。このことから、POV試験紙で市販のサラダ油、キャノーラ油、大豆油、ひまわり油、オリーブオイルのPOV測定に適用できることを確認した。

著者関連情報
© 2021 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top