日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k2
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
青森県の家庭料理 行事食の特徴
−年越し・正月料理にみる地域性−
*熊谷 貴子安田 智子今井 美和子真野 由紀子北山 育子
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キーワード: 青森県, 正月料理, 地域性
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抄録

【目的】青森県の行事食の中でも、最も特徴的な年越し・正月料理について、地域別の特徴を把握することを目的とした。

【方法】調査期間は平成25年〜27年度であった。青森県内を津軽地域、南部地域、下北地域の3地域に区分し、その地域に伝承されている家庭料理に関する聞き書き調査を計25地区で実施した。調査対象者は、その地域に長く居住し、郷土料理や家庭料理をよく知り、現在も調理が可能な41名とした。聞き取った行事にかかわる料理のうち、主に年越し・正月料理についての特徴を整理した。

【結果】県全域では、年越しから正月にかけて祝い膳を囲んで食べる家庭が多かった。3地域で共通の料理は、「煮しめ」、「茶碗蒸し」、「なます」、「ナマコの酢の物」、「子和え」、「刺身」であった。「茶碗蒸し」は、津軽地域では甘く、南部地域では甘くない味付けに特徴がみられた。「なます」は、津軽地域の一部で「煮なます」がみられた。「刺身」は県全域でホタテ、イカ、タコが食され、津軽地域は「酢ダコ」が多かった。南部地域や下北地域では「煮あえっこ」と呼ばれる、大根や山菜、豆腐等が入った炒め煮などもみられた。各地域の祝い魚は、津軽地域は「鱈」や「荒巻鮭」、南部地域は「荒巻鮭」や「カレイ」、下北地域は「カレイ」が主に用いられていた。すしは、津軽地域で「鮭とタケノコの飯ずし」、下北地域で「イカのすし」がみられた。汁物は、山菜を用いる津軽地域の「けの汁」や「あづべ汁」、海産物を用いる南部地域の「いちご煮」や「くじら汁」、下北地域の「くじら汁」や、「つぼ汁」などがみられた。青森県は、農産物と海産物に恵まれており、同じ料理名であっても3つの地域の内陸部と沿岸部では材料が異なっていた。

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