日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-k15
会議情報

特別企画 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 ポスター発表
山梨県の家庭料理 行事食の特徴
−山中湖村に伝わる安産祭り及び山梨県の通過儀礼の食事−
*時友 裕紀子, 阿部 芳子, 柘植 光代, 松本 美鈴, 坂口 奈央
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抄録

【目的】山梨県南都留郡山中湖村に伝わる安産祭りでは貝のひも煮をはじめとした家庭料理を家族や祭りに来た人に振る舞う習慣がある。安産祭りや山梨県の通過儀礼の食事について各地域の特徴をまとめた。

【方法】「次世代に伝え継ぐ家庭料理」のガイドラインに沿い昭和30〜40年代の生活環境と家庭料理について平成25〜27年に行った山梨県の聞き書き調査、及び文献調査を中心にまとめた。

【結果】山梨県南都留郡山中湖村の山中諏訪神社(山中明神)の秋祭りである安産祭りは妊娠を望む女性、安産祈願の妊産婦、子が授かりお礼に来た女性たちが集まることで有名であり、赤飯、貝のひも煮(乾物の貝のひもを戻して煮たもの)や花豆の煮物、山中湖特産のワカサギ料理などが参詣人にも振る舞われた。現在でも祭りの当日は各家庭で親類縁者とともに宴会をする様子が見られる。貝のひも煮はへその緒の外観を連想させる縁起ものであり、年に一度、安産祭りの祝いの料理として供されたもので、祭りに欠かせない料理となっている。

 子の誕生からお七夜、初節句などの成長の節目や、成人、婚礼などを祝う通過儀礼において共通した料理は赤飯であった。茹でた小豆とともにもち米を蒸して調理する他に、うるち米やアワ、キビを混ぜることもあった。小豆や金時豆の甘納豆で甘く味をつけ、食紅でピンク色に着色した赤飯は甲府盆地の中央部、西部、北部の家庭で誕生日や入学式、成人式、婚礼などのハレの食事として今でも食べられているが、県東部(大月市や上野原市)や富士北麓では甘納豆の赤飯は見られない。上巳の節句(ひな祭り)は4月3日の行事で、ピンク(食紅)、緑(よもぎ)、白の三色で作ったひし餅や甘酒などで祝うことが多い。

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