主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】本研究は、アレルギー食の調理作業における、熟練者(教員)と初修者(学生)の人間工学的作業分析(モダプツ法・筋電図法)を行うことを目的とした。
【方法】本研究では、調理動作中の一連の人間工学的評価を行うため、人参の千切りとオムライス調理(アレルギー食・通常食)を行なった。被験者は2名(熟練者(教員, 身長 156cm), 初修者(学生, 身長 157cm))である。測定評価項目は、作業姿勢評価、筋活動評価、作業効率評価とした。作業姿勢評価は、WEBカメラで身体全体の動きを撮影し作業姿勢を観察・分析、主要な作業における首・肘、膝の角度算出を行なった。筋活動評価は、各被験者の左右腕橈骨筋、左右上腕二頭筋の筋活動をサンプリング500(Hz)で測定し、積分筋電図(iEMG)を算出した。作業効率評価は、作業ごとに時間を尺度として評価するモダブツ法を用いて、一連の調理動作における各動作時間を分析した。
【結果】アレルギー食調理に対し、3つの人間工学的作業分析を行い、熟練者と初修者間の差が確認された。作業姿勢評価より、初修者は熟練者に比べ前傾姿勢での作業が確認された。筋活動評価においては、初修者は熟練者よりも2倍近く筋活動が確認され、熟練者の筋活動が確認されない作業でも筋活動が確認された。作業効率評価では、全作業時間において初修者は熟練者の1.6倍の作業時間を有していた。特に、玉ねぎのみじん切りなど包丁を使う作業では、熟練者の方が作業時間は短かった。しかし、フードプロセッサーなど機械を使う作業では作業時間の差は確認されなかった。本研究の結果より、調理工程の増えるアレルギー食調理を初修者が行う際は、作業効率などの観点から調理への機械の組込が有効である。