日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-1
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口頭発表
使い切りソーラークッカーと専用調理容器による新しい調理方法の開発
藤田 萩乃*川合 健太
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抄録

【目的】ソーラークッカーは無電源で使える調理器具として,インフラの整わない地域や災害時の煮炊き用途として知られている。しかしながら,高価で,広い保管場所必要とし,専門の知識がなければ使うことができないため,一般消費者が日常的に使用するような調理方法ではなかった。そこで,誰でも簡単に使える新しいソーラークッカーおよび専用調理容器を開発し,環境に優しい調理法として提示する。

【方法】安全で安価であること,直感的に使用でき,保管場所を取らないこと,おいしいこと,高性能であること(短時間で調理できること),を開発のコンセプトとした。ソーラーパネルの製作には安価に製作するため市販のビニール傘の中骨を流用した。パネル部はレトルトパウチ用のアルミニウム包材を用い, 1/8パーツを放物線形状にヒートシールして製作した。調理容器もまたレトルトパウチ用包材を使用した。焦点における焼損を防ぐためドーナッツ形状とし,傘の柄の部分に巻き付け,放物線の焦点を含む平面が調理容器の最下部に配置できる設計とした。調理容器には沸騰したときに破裂を防ぐ蒸気抜き機構を装着し安全に配慮した。

【結果】200gの水を調理容器に封入後,ソーラークッカーに設置し,晴天時に加熱試験を実施したところ,約12分で60℃に到達し、約60分で95℃に到達した。ホットベンダーで供給される缶コーヒーの温度が60℃程度であり,レトルト済みのパウチを温め直す用途としては十分に利用できる。同様に約200gに調整したお汁粉(白玉,おしるこ汁),おかゆ(アルファ化米,サラダチキン,ネギ,水)を60℃まで加熱したところ,おいしく食することができた。今後は複数人向けの容量の大きい調理容器を開発する他,オーブン料理や焼き調理ができるよう開発していく。

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