日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-4
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口頭発表
認知症高齢者を対象とした料理療法における支援方法の動画解析
*明神 千穂服部 亜香里中濵 琴乃小澤 一哉前田 佐江子櫛 勝彦湯川 夏子
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抄録

【目的】先行研究において、料理活動が認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)及びQOLの改善に効果があることが認められた。現在、より効果的な支援方法について、検討を進めている。本研究では、料理療法の支援スタッフへの教育プログラムの開発を目的に、認知症高齢者による料理活動の動画を分析し、支援スタッフによる支援と参加者の“行動”及び“発言”の関係性について検証を行った。

【方法】認知症高齢者Aグループホームにおける料理活動を撮影したビデオ( カレー, 巻き寿司 )を分析し、支援スタッフによる支援と参加者の“行動”及び“発言”の切片化を行った。次に支援スタッフの働きかけが料理活動参加者にどのような影響を与えたのかを明らかにするために、ビデオ・エスノグラフィーを用い、その関係性について解析を行った。

【結果】料理活動中、参加者が自発的に他の参加者へ料理のアドバイスをしたり、互いに協力しあうような場面は、支援スタッフが対象者の得意とする作業を依頼する支援を行った時にみられた。一方、支援スタッフによる指示的な言葉かけが中心となる支援では、料理活動は順調に継続するものの発話があまりみられなかった。参加者が本来持っている能力を生かしきれない支援や、参加者の視界に入らない位置からの支援は、料理活動の停滞につながった。個人に合わせた支援を行うことで料理活動が順調に継続し、その延長上に参加者の自発的な行動や発言がみられ、それらが料理活動による認知症高齢者の自信の回復や、役割の再認識につながることが示唆された。

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