主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 2021年大会(一社)日本調理科学会
開催地: 実践女子大学 日野キャンパス
開催日: 2021/09/07 - 2021/09/08
【目的】食パンの容積や色の測定時に可能な限り非侵襲な方法を用いようとする試みを行った。
【方法】小麦粉あたりの砂糖の量のみを段階的に減らして,家庭用の自動製パン器 (Panasonic SD-BM103)で食パンを調製*した。食パンの高さをノギスで計測し,一斤の食パンを写真撮影後,菜種法で食パンの容積を求めた。その後,測定径φ8 mmのColor Reader CR-13 (コニカミノルタ)によりクラストの色を測定し,L*a*b*で示した。同様に,食パンの写真にColor Readerをあてて,写真上の食パンの色をL*a*b*で示した。
【結果】パンの膨らみは,一般的に,植物の種子を用いた菜種法を用いて食パンの容積が求められているが,菜種と食パン表面であるクラストが接してしまう。そこで,家庭用製パン器の特性を生かして,菜種法で算出される食パンの容積が食パンの高さで代替できるか検討したところ,両者はR 2 = 0.737で表せた。さらに,食パンクラストの色を写真の色で代用できるか否かを検討したところ,食パンの写真を撮ってその印刷物からパンの色を求めた場合,複数の工程によって食パンの色は修飾されてしまうため,L値は高め,aとb値は低めに算出される場合が多かった。しかし,それぞれのパラメータ値は10単位以内の変化であることと,クラスト表面の色を直接測定した場合のパラメータと写真上の色をカラーリーダーで測定した場合のパラメータの関係がよく対応していたことから,写真上からの色の測定から相対的な変化を追跡できると思われた。
この研究の一部は,公益財団エリザベス・アーノルド富士財団の助成により行った。*Sato (2019). Cereal Chem, 96, 1060-1067.