【目的】先行研究から、ソバ粉シューの膨化性は小麦粉シューに比べて低く、その要因は、凝結したソバデンプンがシュー生地の均質性を低下させること、焼成中の生地表面の乾燥・硬化が早いことが考えられた。本研究では、これを改善するために、デンプン形状が小粒となる方法で製粉されたソバ粉を使用して生地を調製し、オーブン庫内が高湿度となる条件下でシューを焼成することで膨化性が向上するかを検証した。
【方法】ソバ粉はロール製粉(RB)および気流粉砕(ACB)により製粉し、各ソバ粉の粒度は粒度分布測定および走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。シューの材料は既報に基づき、ソバ粉50g、水100g、バター40g、卵液100gを基本配合とした。焼成条件変更試料(BCB)はオーブン庫内に水(1L)をはった天板を設置し、シューを焼成した。各焼成シュー試料の膨化状態は、比容積、内部の空洞面積により評価した。焼成中の生地温度はシュー専用熱電対K温度計で測定し、焼成前後のシュー生地中の水分量を凍結乾燥前後の重量の差から求め、その値から水分蒸発率を算出した。
【結果・考察】製粉方法別では、RBよりもACBでメジアン径が小さく、SEM像で確認するとACBは遊離デンプンがより多く存在していた。ACBで焼成したシューはRBよりも比容積および空洞面積が大きく、膨化性が良好であった。また、湿式加熱を用いたBCBは従来法よりも焼成過程での生地底部の温度の上昇がはやく、水分蒸発率も高いことが明らかとなった。以上の結果よりソバ粉シュー調製にはソバデンプンが遊離しやすい方法で製粉されたソバ粉を用い、湿度の高い条件下で焼成することが膨化性の向上に有効であると考えられた。