日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-16
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ポスター発表
膨化食品の特性に与えるペクチンの影響について
*杉野 茜音黒川 将岡田 雄治
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キーワード: 膨化食品, ペクチン, 粘弾性
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抄録

【目的】ペクチンはジャムをはじめとするゲル状食品の物性制御に用いられており、希薄溶液系における他の水溶性高分子との相互作用に関する研究例は多い。一方、膨化食品生地等の濃厚分散系における各成分との相互作用に関する知見は少ない。そこで本研究では、膨化食品の一例としてホットケーキを用い、膨化特性に対するペクチンの作用および主要な構成成分である薄力粉と卵との相互作用について検討を行った。

【方法】薄力粉37%、砂糖6.3%、ベーキングパウダー1%、水で溶解したペクチン液(ペクチン0.1〜0.5%)、卵18%および牛乳28%を混合し生地とした。膨化率の測定にはクリープメータ(RE2-33005C、山電)を使用した。100℃に加熱したステージに直径35mmの円筒を置き、生地を8g流し込み、膨化時の経過時間と高さの変化率をクリープメータで測定した。また、加熱に伴う生地の粘弾性の変化をレオメータ(Haake RheoStress 6000、Thermo Scientific)で測定した。直径20mmのプレート型ジオメトリーで1.0mmの間隙で挟み、25〜100℃での温度依存性測定を行った(1.0Pa、1rad/s)。試料は、薄力粉46%、砂糖7.8%、ペクチン液(ペクチン0.1〜0.5%)の混合物および卵を添加したものを用いた。

【結果・考察】膨化率はペクチン濃度依存的に増大する傾向であった。ペクチンが生地中の固化成分であるタンパク質に作用したと考えられる。生地の加熱固化時の貯蔵弾性率はペクチン濃度に依存して減少する傾向であった。ペクチンはグルテンおよび卵由来タンパク質の加熱固化に対して阻害的に作用することにより、形成されるネットワークの弾性率を低下させ、膨張率の増大に寄与する可能性が示唆された。

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