日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-33
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ポスター発表
魚焼成調理における焼き色変化と匂いの解析
*井上 麻奈美古川 裕子吉江 由美子ラベ イヴァン酒井 昇福岡 美香
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抄録

【目的】加熱調理の一つである「焼き調理」では、おいしさをもたらす重要な因子として色と香りがあるが、この二つの定量的な関係性は明らかになっていない。そこで、本研究では魚の焼き調理を対象として、加熱途上の試料表面の色彩値変化をリアルタイムで取得するとともに、別途、香気成分を定量し、色と香りの相関関係を明らかにすることを目的とした。

【方法】マダイフィレ(愛媛県産養殖)を上火式電気魚焼器によって焼成し、その過程での表面、中心、環境温度を測定すると同時に、デジタルカメラによって撮影した画像を解析することでL*a*b*値を取得した。また、試料の香気成分についてSPME-GC/MSによる同定に基づき、内部標準物質を用いたSPME-GC法によって、焼成時間の進行に伴う成分量の変化を定量的に捉えた。

【結果・考察】

焼き表面の色彩値解析では、筋原線維タンパク質の加熱変性に伴い、 加熱開始からL*値は上昇し最大値を示すが、焼き色の呈色(褐変)とともに、低下する様子を確認できた。さらに、a*、b*およびC*値から、褐変と炭化の進行を表わすことが出来た。香気成分の解析では、焼成時間と検出量に相関がみられる成分が複数検出され、その成分のうち、ヘプタナールやノナナールなどのカルボニル化合物がタンパク質変性の進行につれて発生量が増加していた。これらのカルボニル化合物は脂質酸化生成物であり、色彩値の結果と併せるとL*値と脂質酸化との間に相関がみられた。また、焼成時間の増加につれて発生量も増加する成分も定量されたことから褐変、炭化反応特有の香ばしい匂いに寄与する成分も検出された。

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