日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-34
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ポスター発表
無毒フグ(養殖)から抽出された肝油の品質
*大貫 和恵岡本 朋花五百藏 良野口 玉雄
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抄録

【目的】フグの肝臓(フグ肝)には,フグ毒テトロドトキシン(TTX)が含まれているとして,全てのフグ類の肝臓が廃棄されているが,長年の研究により無毒フグの生産が可能となった.本研究では,無毒のフグ肝を有効利用するため,新たにフグ肝の栄養補助食品(サプリメント)としての利用を視野に入れ,一昨年の報告(酸価,過酸化物価,色等)に引き続き,機能性脂肪酸を多く含むフグ肝から油脂を抽出し,その品質を検討した.

【方法】管理の行き届いた海面養殖(熊本県)で2年間養殖したトラフグの肝臓を用い,フグ毒検査法の参考法で無毒(5 MU/g未満)を確認後,処理温度が異なる非加熱(冷凍,冷蔵)および加熱(60℃,100℃)の4種の肝油を抽出し,JASおよびCODEXの魚油規格より一般状態{清澄度,風味(酸敗臭),異物混入},カルボニル価,粘度,脂肪酸を測定した.風味は,基準油脂分析試験法に準じて,酸敗臭の程度を5点(5点:臭が良好,1点:強い変敗臭)とし,官能評価にて行った.

【結果・考察】得られた4種の肝油の一般状態は,全て透明で異物混入がなく,風味は,殆どのパネルの評価が5点で臭が良好で,酸敗臭がなかった.カルボニル価は,非加熱処理(約0.9)が加熱処理(約1.5)より低かったが,両処理とも食用油脂としての品質に問題なかった(p<0.01).粘度(約30℃)は,約50mPa・sを示した.脂肪酸組成は,生と類似していたが,非加熱処理の多価不飽和脂肪酸,特に,DHA(約19%)が有意に多く含まれていた(p<0.01).以上より,無毒フグから抽出した肝油は,非加熱処理の品質等が優れていた.

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