日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-49
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ポスター発表
深煎りごまドレッシングによるピーマンの苦味および臭いに対する低減効果
*田村 佳子岡本 幸子篠田 夕貴熊谷 信介栁澤 琢也
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抄録

【目的】一般に野菜の苦味に対する受容性は高くないため、野菜の摂取不足の一因と考えられる。野菜の苦味を低減することは野菜の摂取量を増やし、結果として健康に寄与するものである。特にピーマンは苦味や臭いに特徴があり、子供にも敬遠されがちである。以前、我々は、野菜の苦味低減にマヨネーズが有効であることを示した。そこで本研究では、マヨネーズと同様に、食油や食酢、卵黄を使用している深煎りごまドレッシングについても、その効果を確認した。

【方法】ピーマンに等量の水を加え、フードプロセッサーで粉砕後ろ過した。ろ液に、深煎りごまドレッシング(キユーピー㈱)を添加し、水添加を対照として、味認識装置で苦味の評価、SPME-GC/MS法で臭いの評価を行った。また、ピーマンは加熱調理して食することが多いため、ピーマン50gを炒めた後、深煎りごまドレッシングを7.5g添加し、食塩相当量を添加したものを対照として、苦味について20名で官能評価を行った。この炒めたサンプルについても、機器分析で苦味および臭いを評価した。

【結果】機器分析の結果、生ピーマンにおいて、深煎りごまドレッシングの添加で苦味(特に苦味雑味)は明らかに低い値を示し、ピーマン特有の臭いは有意に低減した。炒めたピーマンの官能評価では、深煎りごまドレッシングで調味した試料は、対照より有意に苦味が低減した。また、機器分析でも苦味や臭いが低減していることを確認した。これらの結果から、深煎りごまドレッシングで調味することで、ピーマンの苦味や臭い低減に有効であることが示唆された。今後、この作用機序解明として、原料の食油、食酢、卵やごまによる苦味および臭いの低減効果について検討を行っていきたい。

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