【目的】高齢者の誤嚥性肺炎や窒息を防ぐために食べやすく、良質なたんぱく質、エネルギー源となる高齢者向け食品の開発が望まれる。本研究では鶏胸肉をほぐし、油脂を添加して再構成肉を調製し、その特性について力学特性、咀嚼筋電位及び官能評価から検討した。
【方法】鶏胸肉を真空包装した後、沸騰水中で中心温度85℃で90秒間加熱し、その後20℃になるまで氷水中で冷却した。冷却した鶏胸肉を室温にてフードプロセッサーを用いてほぐし肉を調製し、油脂を添加して再構成鶏胸肉を調製した。添加した油脂は液状油(キャノーラ油)と固形脂(油脂固化剤を用いて調製した固形脂とショートニング)を用いた。対照として油脂の代わりに水を用いた。力学特性としてテクスチャー特性と静的粘弾性、咀嚼筋電位の測定と官能評価を行った。測定温度は20℃とした。
【結果・考察】再構成鶏胸肉のテクスチャー特性における硬さは、固形脂添加試料が水添加試料、液状油添加試料に比べて有意に低値を示した。付着性と凝集性は水添加試料が油脂添加試料に比べて、有意に低値を示し、油脂添加試料間で比較するとショートニング添加試料が有意に高値を示した。静的粘弾性ではいずれの項目においても有意差は認められなかった。咀嚼筋電位では、咀嚼周期と咀嚼時間は個人差は小さかったが、総筋活動量と咀嚼回数は個人差が大きいことが示された。官能評価ではショートニング添加試料が他の試料に比べて、食後の油脂の残留感が大きく、なめらかで、べたつき感が少なく、まとまりやすく、飲み込みやすいと評価された。再構成鶏胸肉に油脂を添加する場合は液状油より固形脂の方が油脂の特性が力学特性にも反映され、食べやすくなることが示された。