日本調理科学会大会研究発表要旨集
2022年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: P-44
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ポスター発表
低温調理によるオリーブオイル煮食肉の物理化学および官能特性
*狐野 大誠駒木根 帆純石川 伸一
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抄録

【目的】低温調理とは食材にとって最適な温度帯を意図的に狙い、低温で長時間加熱する調理法のことである。また、食肉をオイル中で低温調理する方法としてコンフィがある。低温調理に関する研究では、他の調理法と比較したものが多く、調味液の影響を調べた研究は少ない。本研究では低温調理とコンフィを組み合わせ、食肉の物理化学及び官能特性について調べ、食肉のおいしさの要因やその科学的解明を目的とした。

【方法】牛サーロイン、豚肩ロース及び鶏むね肉をそれぞれ約200g密閉できる袋に入れ、水とオリーブオイルを肉と同量添加した。加熱条件は70℃、2〜3時間とし、肉中心温度の経時的測定を行った。調理した肉のクッキングロス測定、テクスチャー測定、X線CTでの断面観察、電子顕微鏡での表面観察及び官能評価などを行った。

【結果・考察】牛肉の結果では、オリーブオイル煮では温度上昇が緩やかであり、最高温度が低い状態で維持された。クッキングロスは、水煮と比べて有意に低い値を示した。テクスチャーは有意差は見られなかった。官能評価の結果、肉の色は水煮と比べて有意に明るく、牛肉臭もやや弱いと有意に判断され、多汁性はオリーブオイル煮の方が有意にジューシーであるとされた。総合評価はオリーブオイル煮が有意に高い値となった。X線CTでの観察の結果、オリーブオイル煮では小さな丸い空洞を観察でき、電子顕微鏡での観察では、オリーブオイル煮で、筋線維の密度が高まっていることが示された。低温調理とコンフィを組み合わせた調理法は、食肉の新たな調理法としての可能性が示唆された。

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